第17次 中期経営計画
基本的認識
金融機関を取り巻く環境は、人口減少、少子高齢化による社会構造の変化、低金利の長期化、それにコロナショックによる景気後退が加わり、先行きの不透明感が高まっています。特に、コロナショックは、デジタル化の進展を後押しし、私たちのライフスタイルそのものを大きく変化させていくものと思われます。当行も、この変化に向き合い、地域経済の再起動を図っていきます。

長期ビジョン

概要
当行は、2018年4月~2021年3月の3年間を計画期間とする第16次中期経営計画「変革への挑戦~すべてはお客さまのために~」を推し進めてきました。
その間、当計画の取り組みによって、預金、貸出金が順調に拡大、また有価証券運用の多様化や信用コストの削減効果により、3期連続して当期純利益50億円以上の達成が見通せるなど、厳しい環境下で安定的な収益を計上することができました。
当行で受け継がれてきた精神は「思いやり」「相互扶助」の無尽の精神であります。また、当行に求められている使命は、地域の産業と人々の暮らしを支えていくことであり、地域のお客さまに信頼され、地域の発展に尽くしていくという経営の根本は、これからも変わることはありません。
一方、環境変化と共に多様化するお客さまや地域のニーズに将来にわたりお応えしていくためには、わたしたち全員で知恵を出し、新しいことに挑戦していかなければなりません。新中期経営計画においては、これらの基本的な考え方や前中期経営計画を引き継ぎ、「変革への挑戦 2nd stage~地域再起動のプラットフォーマーへ~」をテーマに掲げ、コロナ禍の地域経済を再生するため、お客さまに寄り添いながら、新連携による金融プラス1戦略の広域展開等により、当行独自のプラットフォームを形成し、地域価値の共創を実現することを目指します。
これまで支えていただいたお客さま、地域の皆さま、株主の皆さまに対する感謝の気持ちを深く心に刻むと共に、これからも地域に貢献していくことが我々の責務です。困難な環境に立ち尽くすことなく、全役職員が「変革への挑戦 2nd stage~地域再起動のプラットフォーマーへ~」を誓い、ふるさとと共に未来を切り拓き、新たな飛躍に向けて邁進してまいります。
第17次中期経営計画(2021年度~2023年度)
変革への挑戦 2nd stage
~地域再起動のプラットフォーマーへ~
目指す姿
地域価値共創型広域プラットフォーム銀行
お客さまに寄り添いながら、新連携による金融プラス1戦略の広域展開等により、当行独自のプラットフォームを形成し、地域価値の共創を実現します。

基本方針
1. 「金融プラス1戦略」の推進 | 新連携や事業領域拡大等の取組みにより収益を極大化します。 |
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2. 効率経営の実践 | リスクアセットコントロールによる自己資本比率改善、ローコストオペレーションによるOHR改善等により、様々な環境変化に対する適応力を高めます。 |
3. 強固な経営基盤の確立 | コンプライアンスおよびリスク管理を徹底し、コーポレートガバナンス、サイバーセキュリティ、マネー・ロンダリング等への対応を一層強化します。 |
全体戦略と主要な戦略と項目


主要な戦略と項目
新連携による金融プラス1戦略
愛媛銀行は、地域再起動のプラットフォーマーとなり、「新連携による金融プラス1戦略」を通じて、お客さまに存在価値の高い新たなソリューションを提供していきます。
具体的には、愛媛銀行が中心となって異業種の事業リスクを管理し収益化を図る、地域プラットフォーマーの次世代モデルの創出を目指します。また、新連携によるローンの広域展開、消費者ローン等のリテールバンキングの拡充など、新たなローンプラットフォームの構築を目指します。
これらの成果として、県内総生産全国シェア1%を確保し、実質経済成長率、1人当たり県民所得ともに、全国平均を上回る水準へと繋げていきます。
コンサルティング戦略
アフターコロナの地域再起動に向けて、個人・法人の両方のお客さまに対するコンサルタント力の強化を推し進めます。
個人のお客さまに対しては、ライフステージの変化に応じて、長期投資や時間・資産分散によるリスク抑制など資産運用に係わる各種商品に加え、マイカーローンや住宅ローン、教育ローンなど各種個人ローン等に関する提案力を強化していきます。さらに、老後資金や認知症など高齢化社会の課題に対応したシニアサービスについても、拡充を図ります。
法人のお客さまに対しては、「取引先の企業価値創造」を目指して、お客さまの「事業性評価」を通じた課題やニーズの適切な把握から、コンサルティングをスタートします。そして、適切なコンサルティングサービスを提供するべく、ひめぎんグループ連携と外部提携先との連携による、ワンストップ型のソリューション提供態勢を敷いております。
デジタル戦略
個人および法人のお客さまに対して、“いつでも・どこでも・かんたんに” 当行の商品・サービスをご利用いただくために、最先端のデジタル技術の開発・導入を推し進めます。常に、お客さまのニーズに合致した最適な商品・サービスを最適な接点タイミングでお届けすることを目指して、開発に当たっては、「お客さまの体験」を基準としたマーケティング分析を行っております。
具体的には、個人のお客さまに対しては、“あなたにとって身近な銀行”を目指して、「ひめぎんアプリ」の機能の拡充・深化を進めていきます。法人のお客さまに対しては、“デジタル上の事業者向け店舗”の開設に向け、2022年度をめどに「事業者向けポータルサイト」の構築を目指します。
ESG・SDGs戦略
「地域のSDGsリーディングカンパニーの育成」を目指して、ESG・SDGs戦略を推し進めていきます。
ESG・SDGsに対する企業の取組状況に応じて、HOP(ESG・SDGsを知る)・STEP(ESG・SDGsを経営に組み込む)・JUMP(ESG・SDGsをもとに行動する)という3つの段階で様々な支援メニューを提供していきます。たとえば、HOPでは、SDGs寄付型私募債の発行や、SDGs関連セミナーの開催、STEPでは、SDGs経営の立ち上げ支援サービス、JUMPでは、ESG・SDGs関連補助金・支援事業の提案や、各種第三者認証等の取得支援などを行います。
また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応を目指し、ガバナンス体制の構築やシナリオ分析、経営戦略の策定、リスク管理プロセスへの反映、目標設定などを順次推し進めていきます。
人財戦略
多様な人財が活躍する職場環境づくりに取り組みます。具体的には、「人材育成・研修制度」「女性活躍」「健康経営」「働き方改革」の4つを軸に、人づくり・職場づくりを推し進めていきます。
特に、地域のプラットフォーマーとして、地域の活性化に貢献する地域づくりのスペシャリスト「地域プロデューサー(※)」の排出に注力します。
- 地域プロデューサーとは
ひめぎんプラットフォームを活用し、地域の活性化に貢献する、地域づくりのスペシャリスト
生産性向上戦略
デジタル戦略の推進による“新たな接点の場”の拡大を背景に、リアル店舗については、「広域店舗ネットワークの再構築」を推し進めます。具体的には、高コスト店の統廃合の一方で、個人営業を中心とした軽量型店舗である「スマート店」の展開強化を図ります。また、営業店の空きスペースを有効活用して「コミュニティ形成の場」へと、新たな位置づけを加え、地域のプラットフォーマーとしての役割を果たしていきます。
さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)による本部業務効率化や組織体制の最適化を進め、約20%の本部人員削減を行います。
市場戦略
「ふるさと銀行」として地域経済の活性化に取り組んできた成果として、預金等残高が着実に増加しております。そうした状況を踏まえ、当行では、有価証券運用や市場性ローンなど、「市場戦略」を重要課題と位置づけております。
愛媛県内の安定した資金調達基盤を背景に、安定した有価証券運用等により収益の維持・拡大を継続し、これを成長へのドライバーとして活用していきます。
経営管理態勢強化
従来型の統合リスク管理では、「リスクは避けるべきもの」との観点から短期的な収益の向上を目指す管理形態が基本であり、収益機会を逃す可能性があり、持続的な収益性確保も不十分でした。これに対し、今後、当行は、地域社会の発展を目的として、取り巻くリスクを認識し、将来にわたる健全性を確保したうえで、積極的にリスクテイクすることにより持続可能な収益向上を目指す「RAF」(リスクアペタイト・フレームワーク)に基づく経営管理態勢の構築を目指します。
主要計数目標(2023年度:単体)
収益性 | 当期純利益 | 50億円以上 |
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コア業務純益 | 282億円以上 | |
OHR(コア業務粗利益率経費率) | 73%未満 | |
健全性 | 自己資本比率 | 8%以上 |
開示債権比率 | 1%台 | |
成長性 | 総預金残高 | 25,000億円以上 |
貸出金残高 | 18,500億円以上 |
- コア業務純益:業務純益+一般貸倒引当金繰入金-債券関係損益
- OHR:営業経費÷コア業務粗利益
- 自己資本比率:自己資本額÷リスクアセット
- 開示債権比率:開示債権残高÷(貸出債権残高+保証等債権残高)
参考資料
「第17次中期経営計画 骨子」(2.89MB)
「第17次中期経営計画 ~1年目進捗状況~」(2.06MB)
「第17次中期経営計画 ~2022年度中間期進捗状況~」(1.83MB)
「第17次中期経営計画 ~2年目進捗状況~」(2.1MB)
「第17次中期経営計画 ~2023年度上期進捗状況~」(2.2MB)